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甘く、苦く

第85章 大宮【スフレ】




ふいに漏らした吐息が、
溜め息だと思われたのか。


「いやだったら、んなこと聞くなよ…」


しょんぼりと、
肩を下げてしまう。


「そ、そーゆーのじゃないからっ、
ただ脱力しただけっ」


間違いを正そうとしようとも、
こうなると和はめんどくさい。

めんどくさいときは
トコトンめんどくさい。

溜め息を吐きそうになり、
吸い込んだ。

危ない危ない…


「…違うよ…。
和のこと、好きなんだもん…」


思ってることを、正直に伝えても。

和はやっぱりめんどくさいから、


「あっそーですか」


と、拗ねてしまう。

…ガキ……


「…ね、こっち見てよ、もう…」

「…めんどくさい俺なんかで、
お前は本当にいいのかよ。
お前なんて、もっと似合うヤツ、
そのへんにたくさんいるだろ。」


自分に自信をなくす和は、
さっきよりもガックリと肩を下げている。


「…じゃあ和は、他の人と
付き合ってもいいの…?」


ちょっとだけ、いや、ううん。

すごい悲しくなった。


「俺は、和以外と付き合うつもりは、
全然ないから…。
それだけは、忘れないでよね。」

「っ…」


だって俺、もうこんなに和に
夢中なんだから。

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