甘く、苦く
第87章 にのあい【この距離がどうにかならないかな】
「…ん、」
「あ、」
相葉さんが起きてしまった。
「んー、ニノー?」
「…いますよ」
「んー…」
「好き」って言葉なんてなくても、
「んふふ、ニノぉ」
「好き」言葉なんてなくたって…
「もう、寝ぼけないでくださいよ」
…やっぱり、欲しい。
相葉さんの胸の中で
ぎゅうっと抱き締められる。
苦しいけれど、
「好き」って言葉の代わり、なーんてね。
ウソ。
そんなのやだ。
…なんで、言ってくれないんだろう…。
「グスッ」
「…ニノ?」
「…鼻水」
「ティッシュいる?」
鈍感。
「いらないです…」
「鼻詰まらせないようにねぇ」
「…うん」
本当は、
気付いてるくせに。
相葉さんの胸を濡らしているのは
俺の涙だってわかってるくせに。
ばればれのウソをついても、
俺にそれ以上聞かないのは…
なんでなの?
ねぇ、相葉さん…
俺は相葉さんのこと、好きなんだよ…?