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甘く、苦く

第87章 にのあい【この距離がどうにかならないかな】



ーピピピ ピピピ


翌朝。

「…ん、あれ、」

重たい体を無理やり起こして、
ぐーっと伸びた。

痛みは、ない。

それよりも。


「なんで、いんの…」

「ふふ、おはよ」


俺の隣で、
ゴロンと寝転がるのは見慣れた人。


「ニノ、ちょー可愛かった。
ずーっと俺の腕の中にいたんだよ?」

「……知らない」


あったかかったのは、
きっと相葉さんとくっついていたからだ。


「ニノ、寝坊したの?」

「…アンタのせいでしょ。
……昨日の夜のせいだから」

「…くふふ」


ベッドから抜け出そうと身を捩れば、
相葉さんの腕が伸びてきて
またベッドに引き戻される。

首筋に相葉さんの息がかかって、
擽ったい。

それに、俺よりも大きな手が
俺の手を包み込んでいる。


それだけで幸せになっちゃって、
自然と頬が緩む。

こんなだらしない顔、
見せたくないなぁ。


「…アンタ、時間…」

「ふふ、ちょっと早めに
セットしたから大丈夫だよ」

「…は?」


たからさ、と肩を押されて
相葉さんに組み敷かれる。


「今日俺の誕生日なんだから、
もう少しだけ、ね?」


だって今日は、クリスマス・イヴ。

…じゃなくて、相葉さんの誕生日。




「…ばっかじゃないの、」


もう、どうにでもなれ。




ー終わりー

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