
甘く、苦く
第90章 磁石【色彩】
ニノの中に入ると、ご無沙汰だったせいか
いつもより早く達しそうになった。
「ぁっ、」
奥まで到達すると、
ニノが小さく声を上げた。
「我慢しなくていいよ」
そっと髪の毛を耳にかけてあげてから、
微笑みかけた。
ニノは恥ずかしそうに、
目を逸らした。
「ゃだ…」
「ん?」
「女の子みたいな扱いされると、
なんかやだ…」
顔も耳も、肌も。
全部を赤くさせて、
そんな可愛いことを言う。
「じゃあ、どんな扱いがいいの?」
そう優しく聞けば、
「他の女の子よりも、優しくして」
「他の女の子?」
「翔さんが相手してきた、
今までの子よりも、優しくしてよ…」
「…バカ」
そんなの、いるわけないのに。
はっと鼻で笑えば、
ニノはまた恥ずかしそうにした。
「ほら、笑うんだ…」
「違うよ。違う」
「違くないよ」
「俺はお前以外にこんなに優しくしないから」
そう言い切ると、
嬉しそうな顔をしてから、
むっとして。
「じゃあ、俺以外の子とも
こういうことしてるの?」
「あーもう、違うよ」
「そういうことじゃん」
「違うって、もう…」
“黙れよ”
そう耳元で低く囁けば、
ニノは目をとろんとさせて
静かに頷いた。
