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甘く、苦く

第90章 磁石【色彩】


櫻井side


「やっ、ぁ、」


高く上擦ったニノの声。

その声を聞く度、気持ちが昂る。


「ひっ、あ、ぁ、」


指を増やすと、
体を支えきれなくなったのか、
腕が崩れた。

突き出したままの臀部。

そこに触れると、
ニノは真っ赤になった顔を向けて
俺を睨みつけた。


「増やすなら、言ってよ…」

「ごめんごめん、可愛くてさ」

「…変態」

「ごめんごめん」


ん、とぶっきらぼうに差し出された手。

その手を引いて、
ニノの体を抱き寄せた。

ニノの肌はしっとりとしていて、
吸い付いてくる。

真っ白な肌に、優しく口付けてから、
首筋に痕を残す。

“ここじゃバレちゃうよ…”

嬉しそうな顔して、
そんなことを言う。


「いいんだよ、バレて。
俺のなんだから…」

「…くふふ、」


口元に手を当てて笑う仕草。

俺が好きな仕草だ。


「ね、もういい?
我慢出来ないんだけど」


ベッドサイドの軽くなった箱に手を伸ばす。


「ん、平気」


今夜も、
甘い甘い渦に、呑み込まれていく。

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