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甘く、苦く

第91章 モデルズ【思うがままに】


相葉side


「乾杯」


普段は絶対に来ることのない
洒落たこの場。

目の前の彼は慣れた手つきで
何もかもスマートにこなす。


「ここ、絶対高いでしょ?」


周囲の人に配慮して、
小声で聞いてみる。

そうでもないよ、と
サラリと言えてしまうのは
やはりスターだからか。

俺よりも歳下のくせに、
どうしてこんなにも
リードされてしまうんだろう。

食前の白ワインは、
緊張をしているからか、
普段と味が違うのかもわからない。

息が詰まりそうだ。

やっぱり来るんじゃなかった。

誘いを断って、
今日は宅飲みにすればよかった。


「雅紀」

「うん?」

「緊張してる?」

「え、そ、そう?」

「うん、全然飲まないから」


考察力が半端じゃない。


「なんか、緊張しちゃって」

「じゃあ早めに出る?」

「え、それは悪いよ」


だって今日は…

今日は、俺たちにとって
トクベツな日なんだから。

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