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甘く、苦く

第92章 にのあい【人生の半分】


二宮side


「何度言ったらわかんの、
これはこう畳むの!こう!」

「お前の独特な畳み方なんて
知らねーよっ」


始まりはいつも口論。

それもお互い笑顔でやってるもんだから、
最近はメンバーに“熟年夫婦”なんて言われる。

俺から見れば、
お互いのことを分かりあってる
翔さんと大野さんの方が“熟年夫婦”だ。

俺たちはお互いのことを知りすぎて、
どこかよそよそしいんだ。

俺だって別に、
したくてしてるわけじゃない。

原因はわかってる。

俺の面倒な性格。

こいつは俺のうちに来るくせに、
意味のわからない畳み方で
服をしまうから、俺がわからなくなる。

やんなくていいこともやるくせに、
してほしいことは一度もしてくれない。

どーこが熟年夫婦だ。

今この瞬間だって。


「ん、」


キスはうまいけど、
こんなガキみたいなキスは
好みじゃない。

でもこの人は、それで満足してる。

だから俺も、なにも言えない。

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