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甘く、苦く

第92章 にのあい【人生の半分】


人生の半分、彼と過ごしている気がする。

なのに価値観が違う。

俺は雰囲気を大切にしたい。
キスするなら尚更。

でも彼は、何も感じないみたいだ。
本能的に動く動物みたいな感じ。

したいと思ったらするし、
俺が乗り気じゃなくても
バカみたいにちゅーしよって言う。


「ね、ちょっと待っててよ」

「無理、夜まで待てない」

「ばか」

「うん」


洗濯物を畳み直しているときも
ずっとくっついている。

手伝ってほしいけど、
畳み方が違うから仕方ない。


「にの、」

「もう、な―――」


ムードもない、キス。

彼だから許せる。


「…なんだよ、」

「最近にの、俺のこと構ってくんない
ずっとドラマとか雑誌とか、なんかやだ」

「だってそれが仕事だし」

「でもやだ」


また、キスをされる。

何度も何度も、キスされているうちに、
間隔がだんだん短くなって、
啄むようなキスから
スイッチの入ったキスに変わった。

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