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甘く、苦く

第24章 大宮【欠点は二人で補おう。】

二宮side



「ほんと、ニノは
細かいんだよ。」



きっかけは、些細なことだった。


大野さんが着た服をそのまんまにして、
しかも、画材をそのへんに散らかしとくから。


さすがに頭にきて、注意した。


……つもりだった。


それが、いつの間にか口論になっていた。



「ニノだって、ゲームしてて
全然洗濯物取り込まないじゃん。」
「あ?取り込むのは俺の仕事じゃねーよ。
俺の仕事って、決めつけんな。」


そこから始まった、ある意味戦争。


頭にきた、とは言っても、
怒鳴り付けるようなことはしなかった。


近所迷惑だし、
大野さんが余計に騒ぐから。



「二回目だけどさ、ニノは、
細かいんだよ。俺の性格、わかるでしょ?
先生がそんなんでどうすんの?」




この一言が、頭にきた。





なんで、お前にそんなこと
言われなきゃならねーんだよ。

お前はいいよな。
いつも周りには必ず誰かがいて、
甘えられる。


そんな楽なこと、俺にはないんだよ。



「お前に、なにがわかるんだよっ!!」



俺はそれだけ言って、
財布とジャケットを持って、外に出た。






で、現在に至る。

大野さんとは、大学のときに
一緒になった。


コースは全く違うけど、
気付くと、いつも隣にいた。



「はぁっ…」



ほんと、なんでだろうな…

今日だけは、ほんとに
頭にきた。

色々、生徒と上手くいかないし、
他の先生とも上手くいかない。




俺の性格が悪いのかもしれないけど、
今は、それを考えてる場合じゃない。


どうしたら、アイツと仲直りできるか、だ。

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