甘く、苦く
第48章 モデルズ【反比例・比例】
俺はパジャマ姿のまま
コートを羽織って潤の家を出た。
…本当にごめん。
こんな自分勝手な奴、
嫌いだよね。
潤の家を出たら
堪えていた涙が零れた。
「うぅー…」
車も人も通ってない道端で
涙を流し続けた。
どうやってかわからないけど、
気付いたら自分の家にいて。
…そうかあ。
ここは俺ん家だ。
なんだか急に安心して寄り掛かっていた
壁からずるずると落ちた。
「…ふぇっ」
安心すると、また違う意味で
涙が出てきて。
やだ。
なんで泣いちゃうのかな。
いつかはこうなるとわかっていた。
脆く崩れ去る関係だと思っていた。
お菓子みたいに、ボロボロ
崩れ去る俺たちの関係。
「…違うよぉ」
確かに俺より翔ちゃんの方が
潤には似合うと思う。
けど、俺に似合うのは
潤しかいないから。
…翔ちゃんより、
俺の方が潤を愛してる。
気持ちの大きさでは、
絶対に負けない。