甘く、苦く
第48章 モデルズ【反比例・比例】
「雅紀…?
寝ちゃったの?」
俺が潤んだ瞳で潤を見上げたら
困ったように眉を下げた。
「ごめんね?今日はさ……
もともと約束してて。」
「…いい。
…どうせ悪いのは俺なんでしょ?
俺がいちいちヤキモチ妬くから。
こんな俺面倒臭いもんね。
翔ちゃんの方がかっこいいし
なんでもできるもんね?
…俺と付き合うよりさ、
潤には翔ちゃんの方が似合ってるよ?
翔ちゃんの方が頼りがいあるし。
…だからさ、俺との関係は終わりにして?」
…泣きそうになるのを堪えて
全てを言い切った。
潤の方を見たら、
なぜか泣きそうな顔してて。
…なんで?
泣きたいのはこっちだよ。
なんで潤が泣くの?
「ごめん…ほんとにごめん。
…俺、自分家に戻るから。
恋人ごっこ、とか、やめよ?
潤にはもっと似合う人がいるよ。」
そうだよ。
俺なんかより、もっと…。
だって、キスするのは俺から。
抱き締めるのも俺から。
求めるのだって…いつも俺。
気持ちよくなるのも、俺だけ。
そんな奴、嫌われて当然だよね。