甘く、苦く
第48章 モデルズ【反比例・比例】
話しちゃったら、
バレるから。
別に翔さんとは
そんな親密な関係ではない。
ただの兄貴。
…みたいな存在。
雅紀は恋人だから。
俺より大切だから。
あの無邪気な笑顔を壊した
自分が嫌になる。
「…はぁ」
今から雅紀の家に行っても
きっと出てきてくれない。
合鍵は持っていても
無理矢理入るのはよくないと思う。
どうしてだろう。
こんなに俺は雅紀のことを
愛しているのに。
なぜ?
どうしたら俺の気持ちは雅紀に伝わる?
なんでこんなにすれ違って
ばっかりなんだ?
俺がそんなことを考えていたら
携帯が鳴った。
相手は翔さんだった。
「…もしもし?」
「潤?なんか声暗いけど…
なんかあった?あれじゃマズかった?」
…あぁ、もう……。
なんで翔さんはわかるのかなあ…。
俺が翔さんに全てを話すと
あーって大きい声を出した。
「実は……俺も。」
「え?…俺もって、
リーダーと喧嘩したの?」
「そうそう。」
翔さんもリーダーに言い忘れていたみたいで
ちょっと気まずい雰囲気になっちゃったらしい。
「リーダー許してくんなくてさあ…
マジで困った。潤ならどーする?」
「俺は…明日謝るけど?」
「…じゃあ俺もそうしようかな」
翔さんはリーダーと話してくるねって
言って、電話を切った。
…明日じゃないんかいっ!