
甘く、苦く
第48章 モデルズ【反比例・比例】
いつもなら、今日は五人で仕事だ、楽しみだなあって
ウキウキワクワクしていたかもしれない。
…今は、そんな気分じゃない。
起き上がるのも怠くて、
体が縛り付けられてるみたい。
「はぁぁー…。」
大きな溜め息をついて、
無理矢理体を起こす。
…静かだ。
リビングに行ったとき、
そんなことを思った。
いつもなら、いい匂いが漂っていて、
お腹空いたあーって言いながら席に座って。
ご飯食べて、顔洗って歯磨きして着替えて。
…そうか。
それが、当たり前になっていたんだ。
俺の横にはいつも
潤がいたから。
潤のいない人生なんて、世界なんて…。
寂しくて寂しくて。
あの温もりが恋しい。
抱き締めてほしい。
潤のすべてが欲しい。
…俺、いつの間にこんな
強欲になったんだっけ…?
