甘く、苦く
第48章 モデルズ【反比例・比例】
にのと話してたら
なんか落ち着いてきて。
「…行こっかな。」
「お、元気でた?」
うんって言うように
首を縦に振る俺。
そんな俺を見てにのは
満足そうに微笑んだ。
「ほら、待たせてるから行こ。」
「うん。」
にのの小さな手を包み込んで
俺はスタジオへ向かう。
…だけど。
スタジオに近付くにつれて
足取りは重くなる。
「…潤くんなら、大丈夫だよ…。」
「うん…」
わかってる。
わかってるけど…。
やっぱり会うのが怖くなって
その場に立ち尽くしてた。
「ほら、行きますよ。」
「ん…」
にのが俺の手をぐいぐい引っ張って
スタジオに入った。
スタッフさんとみんなに謝って
撮影が始まった。
…こんなときに限って、
席は潤のとなり。
だけど、仕事だから
やらないと。
そう自分に言い聞かせて
無理して笑顔を作ってた。
これが終わればまた休憩あるから。
頑張れ、俺。
撮影は終わったけど、
大分引きつってたかもな。
撮影が終わったらなんだか
酷く疲れていて。
楽屋のソファーで項垂れていたら
リーダーが声をかけてくれた。