甘く、苦く
第50章 お山【君のためにできること】
「さとっさんのこと、
幸せにする。
一生幸せにするから。
だから、お願い。
傍にいさせて。」
えっとぉ…。って言いながら
頭を掻いてる。
…それもあなたらしくて。
一つ一つの仕草が
脳内再生される。
あなたしかいなくて。
俺を幸せにできるのは、
きっとあなただけだから。
「さとっさんと結婚したい。
だめ、かな…?」
俺が上目遣い気味に言うと、
困ったように顔をしわくちゃにする。
そんな困った顔しないで。
もっと笑って。
あなたの笑顔が大好きなんだ。
「翔、ちゃんは、
俺のどこが好きなの?」
さとっさんが
まだ困ったような顔してるから、
「全部好き」
そう言って、俺は抱き締めた。
そしたら、はぁーって
溜め息が横で聞こえた。
「仕方ないなぁ~。
もぉ、俺も翔ちゃんが好きだもん。
だから、幸せにしてもらう。
…これでいいんだよね?
……結婚って、
よくわかんないけどさ
よろしく、ね?」
そう言って俺を見上げる顔からは
不安の色は消えていて。
…よし。
「…よかったぁー…。」
今まで息をし忘れてたから
呼吸を繰り返した。
さとっさんはそんな俺を見て
優しく微笑んでくれる。
…ありがと。
「さとっさん、これ…。」
相葉くんちに迎えに行く前に、
婚約指輪を買っておいたんだ。
「わ、すごい…綺麗。」
サファイアの宝石が
入ってる指輪がさとっさん、
俺はルビー。
「あーでも、これ高いでしょ?」
「んーん、さとっさんといられるなら
これくらい安いもんだよ。」
「えへへ、ありがと。」
そういった顔が、
すっごい輝いてたから。
安心、できたんだ。
この笑顔を絶やさないよう、
俺は努力しなきゃな…。
「あー、ちゃんと日記つけとこ。」
「プロポーズされたって?」
「うん。翔ちゃんにムードのない
プロポーズされたって書いておく。」
「おい笑」
ー終わりー