甘く、苦く
第50章 お山【君のためにできること】
マンションに着いて
さとっさんを起こす。
その度に揺れるふわふわの髪が
首筋に当たってくすぐったい。
自然と微笑んでしまう。
「…ん~?」
まだ眠いのか
背中の上でもぞもぞしてる。
それが愛しくて、
抱き締めたくなった。
寝起きのさとっさんは
可愛いんだから。
本人は自覚してないみたいだけど
普通に可愛い。
だって、相葉くんだって…。
俺は気付いてる。
鈍感な俺だけど。
さとっさん関連については、
全部把握してるつもり。
相葉くんは、さとっさんが好き。
ずーっと目で追いかけてて、
俺と話してても
さとっさんばっかり見てるんだもん。
そりゃぁ、気付く。
鈍感な俺でも、
それは気付く。
申し訳ない気持ちが反面、
優越感が反面。
「しょー、ちゃ…
ん~……」
俺の背中から降りて、
ぎゅっと抱きつく。
柔らかい腕が
俺の腰に回る。
…気持ちい。
「…んふふ、
翔ちゃん可愛いー。
顔真っ赤になってて
ゆでたこみたい~。」
そう言って笑うもんだから、
俺は腕の力を強くして
さとっさんの首筋に、
顔を埋めた。
くすぐったい~って笑う。
この笑顔が大好き。
この先も、ずっとずっと、
あなたといたいから…。
「さとっさん、
こんなとこじゃあれだけどさ…。」
「ん~?」
「結婚、してくれない?」