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甘く、苦く

第51章 櫻葉【ふたりの休日】






俺が悪いのか。

意地を張ってる雅紀が悪いのか。


…わからない。


「雅紀、遅れちゃうよ?」



返事は、ない。

寝ているのか無視されてるのか
全くわからないけど。


鍵をかけられているから
入ることは絶対にできなくて。



「まーさき。
ねぇってば。」


ドアをノックするけど、
やっぱり反応はない。

…あーあ。


ここまで長引く喧嘩は初めてだ。



雅紀も案外頑固なんだな。

とか思ってたら、
寝室の鍵の開く音。


と、雅紀の顔。



「…雅紀、」

「ごめんなさい…。」


小さな声だったけど、
俺はそれを逃さなかった。

はっきりと聞こえた。
雅紀の気持ち。



「…俺も、ごめん。」


雅紀の体をぐっと近付けて、
優しくキスをする。

柔らかい唇の感触。


「あーあ。
目、腫れちゃったね。」

「…ん。」

「俺のせいだもんな。
ごめんな、雅紀…」

「んーん。」



俺の服の裾をぎゅっと摘まみ、
キスをしてくる雅紀。

あったかくて、
満たされてる気分。


「翔ちゃん大好き…」

「俺も、お前が好きだ。」


雅紀の頬を撫でて、
お互いの体をきつく抱き締め合った。


仕事とか、関係ない。

雅紀といたいから、
これからもずっと隣にいるだけ。



ー終わりー

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