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甘く、苦く

第52章 翔潤【曖昧love】






恋人ごっこ?

幼稚園児じゃないんだから?


…何、言ってるの?


「…俺も潤も、
いい歳なんだから。

依存し合ってないで
もう別れようよ。

で、ちゃんと家庭を持とう?」


…なんなんだよ…。







告白してきたのは
そっちだろ?

ずっと一緒にいるって
言ってくれたのに。

好きとか、愛してるとか
全部嘘だったの?

俺にくれた言葉も愛も、
全部嘘だったの?


ねぇ、翔くん…。


俺が翔くんに訪ねるように訊くと、
一言言われた。

「そういうの、鬱陶しいから。」


そう言い放った目は、
しっかりと俺を捉えている。

けれど…悲しみの色が
広がっていく。


嘘、でしょ?



俺が呆然としていると、
メンバーたちが次々に入ってきた。


いつも通り、じゃれ合う
にのと相葉くん。


「…J?」

「っ…ごめん。」



にのが声を掛けてくれたけど
泣きそうになって
トイレに駆け込んだ。


…なんでだろう。

いつから…。


いつからだろう。

翔くんが時々不安そうに
言葉を溢していた。

『いつかは
離れなきゃいけないのかな…。』

『そんなことないよ。
来年も再来年もその先もずっと
一緒にいようよ。』

『だけど…』

『だけど?』

『ううん。
なんでもないよ。

ずっと一緒にいれたらいいね。』



そう言って俺に
微笑みかけてくれた天使は
もう隣にいない。


「…わっかんないよ…。」




自然と溢れ出る熱いモノ。

拭う気力なんて、
これっぽっちもなかった。

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