甘く、苦く
第53章 磁石【move on now】session 3
「だい、じょぶ…」
「そっか。
なら本番イケるね。」
開かれた足を解かれて、
アイツ自身がぐっと蕾に押し当てられた。
「ろ、ローション…は?」
「いらねえよ。そんなの。
お仕置きなんだから。」
「え、ま、やっ……っ!」
強烈な痛みと、
少しの快感。
「あ、ああっ」
痛いのに、気持ちいい。
酷くされてるのに。
「っ、んんん、」
負けたくない。
快感に流されちゃだめだ。
感情の赴くまま流されるなんて、
今の俺はしちゃだめ…
「じゅ、ん、」
「なに?」
「ごむ、してぇ…」
「するわけないじゃん。
また反抗するの?」
「違っ…」
パンっと気持ちいい音がする。
また、叩かれた。
「あ、締まった。
…へぇ、殴られると締まるんだ。
淫乱じゃん。
じゃあ、こうすればもっと締まるんだ?」
首に、重みを感じた。
真っ暗な世界が、
もっともっと暗くなる。
俺を助けてくれる人なんて、
多分、いない。
これで、俺の話は終わり。
気付いたら、
もうセックスは済んでた。
それで、なぜかわからないけど、
この消毒の立ち込めている部屋にいる。
翔さんのことを、想っていた自分が、
馬鹿らしい。
俺を捨てたんだ。あの人は。
俺は道具なんかじゃない。
一人の人間だ。
やっと、瞼が開いた。
「…え、和くん!?
看護師さんたち呼んでく…」
まーくんの腕を掴んだ。
びっくりしたような顔して、
俺を見た。
「…ねぇ、まーくん。
俺のこと好き?」
「え?」
「ここから、出よ?
二人で暮らそ?」
まーくんの弾力のある唇に、
優しく唇を重ねた。
ー続くー