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甘く、苦く

第53章 磁石【move on now】session 3






なにもない。

残ったものはない。



偽りの温もりも、ない。

一人でベッドの上にいる。



潤は、時々激しくした。

けれども、優しく前戯を
してくれるときもあった。

そういう日は、
給料日だとか、記念日だとか。


アイツは、人一倍性欲が強い。
一回じゃ終わらない。


そこは、翔さんと同じ。



「ま、やっ…!」


今日は、息が荒い。

目が血走ってる。


会社でなにかがあったんだろう。


「ぁ、や、」

「嫌なの?お前から来たんじゃん。
俺のところに。

反抗するような犬は要らない。
さっさと帰れば?」

「…ご、ごめん、なさ…」



その瞬間、頬に痛みが走った。

アイツに叩かれた。



「逆らうとどうなるか、
体に覚えさせてやるよ。」


そう言った潤の表情は、
いつになく、冷たかった。


両手首を縛られ、
足は開かれた状態で縛られてる。

目隠しまでされてる、



…真っ暗だ。

アイツの楽しそうな声が聞こえる。


「いい格好じゃん。
似合ってるよ?」


俺の耳たぶを
柔らかい唇で挟む。

それだけで、
体がびくんってなっちゃって。


「お仕置きの癖に、
感じてるの?淫乱だな。」

「はぁ、あ、ゃ、」



視界が真っ暗なせいで、
なにをされるかわからない。

それが、俺を興奮させた。



クセのある匂いが漂う。


「これ、咥えて。」



唇に押し付けられて、
乱暴に入ってきたアイツのモノ。

顎が外れるんじゃないかって
言うくらい、大きかった。


「絶対噛むなよ。」

「んっ、ふ、」


だんだん、アイツの息が上がって、
腰を振るスピードが速くなる。


「あっ」って言う声と同時に、
俺の顔に生温かくて、
生臭いものがかけられた。


「はぁ、エッロ」

「ごほっ、」



急に大量の空気が入ってきて、
咳が止まらなかった。


苦しい…。



「大丈夫か?
苦しかった?」



こんなとき、
優しくしてくれるアイツに、
多分、俺はもう惚れてる。

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