甘く、苦く
第54章 末ズ【ゲーム<?】
「なに笑ってんの。もー…」
ぐちぐち言う潤くんに、
俺はとびっきりの笑顔を見せた。
「潤くんだけだよ。
俺のなかで潤くんは
ほんとに大きい存在だから。」
ぎゅっと潤くんの背中に抱きついて、
少し上目遣いに言う。
「…ほんと?」
「あったりまえじゃん。
潤くん以外にいると思う?」
「ううん。」
「でしょ?
俺、潤くん大好きだから。
心配しないでよ。
絶体に離れないんだからさ。」
腕に力を込めて、潤くんの背中に
頬を押し付けた。
鼻孔を擽るその匂いは、
俺の大好きな人の大好きな匂い。
もっとくっついていたいけど、
そろそろ撮影の時間。
「ニノ、行こ。」
こういうところの切り換えが早いのも、
潤くんのいいとこだよね。
潤くんのいいとこは
全部知ってるから。
他の誰よりも知ってるんだから。
「…ニノ?」
「んー?」
「今日、早く帰ってくるからね。
相葉くんのとことか、
行っちゃだめだからね!」
やっぱり、独占欲強いなぁ。
目が潤んできて、
俺を呼ぶ声が小さくなる。
…仕方ないなぁ。
「いいよ。
まーくんとはまた今度。」
「ほんと!?」
「ほんとだってば。」
嘘なんかつくわけないでしょ。
大切な潤くんに嘘なんて
つけないよ。