甘く、苦く
第55章 にのあい【俺だけのDisco Star】
ねぇ、いつになったらくれる?
「……」
隣ですうすうと気持ち良さそうに
寝ている雅紀を見て、
腹が立ってしまった。
一応、恋人。
もう付き合って15年以上も経つのに、
雅紀は体を重ねることを躊躇う。
なんでか、わかんない。
俺に不満があるのなら、
さっさと別れればいいじゃないか。
俺なんかより魅力的なヤツは
たくさんいるんだから。
俺は、普通なんだから。
「ん、んんぅ…」
寝返りを打ち、俺に体向ける雅紀。
暑いのか、首筋には汗。
額にも汗。
その汗を舌でペロッと舐めた。
「あ…」って、ちょっと色っぽい
艶のある声が聞こえた。
…こんなの、生殺し。
俺はお前が好きで、欲しいのに。
こんなにも、お前の期待に応えてるのに。
どうして、望んだものをくれないんだろう。
…俺のこと、ほんとに好き?
もう、飽きた?
「…」
Jr.の頃から、お前を一番近くでみてきた。
多分、誰よりも近く。
付き合い始めたのは、
ハワイの会見のあと。
それまで俺は、
恋の一方通行ってヤツをしていた。
ハワイでの会見のあと、
雅紀の部屋に押し掛けた。
『俺のこと、好き?』
『当たり前じゃん。
だって和だもん。好きだよ。』
『じゃあ、付き合お。』
最初は躊躇ってた。
それは多分、ほんの少しの理性と、
世間からのことを気にしていたから。
でも、
『俺のこと嫌いなの?』
『そんなことない…』
『じゃあいいじゃん。』
『でも……』
『…俺じゃ不満?』
『…ううん。』
『じゃあ、付き合お。』
『……うん。』
強引に、雅紀の気持ちを無視して、
俺は雅紀を自分のモノにした。