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甘く、苦く

第55章 にのあい【俺だけのDisco Star】






隣に雅紀がいるだけで、
それだけで、いいから。

これ以上の我儘なんて
言わないからさ、
死ぬまで一緒にいてよ。

俺の隣で、ずっと笑っててよ。
それだけで、いいんだ。


「ニノ、ありがと。」


局の駐車場で一旦雅紀を下ろし
別れる。


「全然いーよ。
またあとでね。」


ヒラヒラっと手を振り
笑顔で見送る。


「ニノ、…なんつーか、
いつもありがと。」


はにかみながら言う。

それがなんか…
超、可愛くて。


一気に血が上った…
気がした。


「ふへ、変な顔。」


雅紀がまたねって
柔らかくふわって笑う。

後ろ姿を見つめながら、
俺ってやっぱ、幸せ者だな、
なんて今更感じる。







「…だーかーらぁー…。
なんでこんなに
遅いのってきーてんの。」

嵐の母、櫻井翔に
俺たちは捕まった。


「…だってぇ…
寝坊、しちゃってえ…。」


ソファーに体育座りをしながら
雅紀が拗ねたように
唇を尖らせている。


「…ニノ、ほんとなの?」

「えっ?」

「相葉くんが言ってること、
ほんとなのかって聞いてるの。」

「…あ、あぁ。
ほ、ほんとだよ?」


なんて、バレバレの嘘をつく。

…バレて、ない?


「…じゃあ、なんでそんなに
幸せそうな顔してるのかな?」

「っ…そ、そんな顔っ…」

「してるからね?」


…嵐の母はやっぱり怖い。

なに、なんなのこの人は。
どんだけ観察してるの?
逆に恐ろしいよ?うん。


「相葉くんっ…」

「ふえぇ…すいませぇん…」


雅紀が目をうるうるさせて
謝ってる。

ふは、かわい。

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