甘く、苦く
第55章 にのあい【俺だけのDisco Star】
「もー…次はないよ?」
「「はぁい」」
…うん。次は。
次はない、ハズ。
「ほら、みんなに謝んないと。」
俺たちの後ろに立って
急かすように耳元で
ほら、っていう。
「なんか、いろいろと
すんませんでした。」
「もう、しませえん…」
雅紀のうるうるした声が
耳元で聞こえて、
……なんか幸せ。
ほら。
溺愛しすぎて、
俺の顔どうかしちゃってる。
「ニノ、変な顔~」
「おじさん、黙れ。」
「ひでぇっ…」
雅紀がふへへ、って
幸せそうに笑う。
…俺も、幸せだよ。
ほら、俺頭悪いからさ、
幸せくらいしか
言えないのよ。
幸せ応用しすぎてる。
つうか、それ以外表せない。
「…いいねぇ、
幸せそうだねぇ。」
「おじさんはもう
モテ期過ぎたね。」
「んだと。」
「きゃーっ、
ぼーりょくはんたぁーいっ」
きゃっきゃっと楽しそうにする
俺たちを見て、
雅紀がつまんなそうに
雑誌を捲ってる。
…ふふ
ほんと、可愛いんだから。
なに?もー。
「まーさき。」
「…なに。」
そんな、ひとつひとつの言葉が、
例えぶっきらぼうでも、
愛おしいんだ。
ほら、やっぱり
溺愛しすぎてるよね。
…好きだよ。