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甘く、苦く

第56章 翔潤【隣にいたい】






ねぇ、翔くん。

……好き。







言えなくなってしまった言葉たち。


…翔くん、会いたい。


「…今度いつ会える?」

「んー、わかんねえ。
講義はいちゃってるから。」

「そっ、か。」


そうだよね。
大学生だもん。

俺なんか…
受験生のくせに、
サッカーばかりしてて
何もしてないのに…。

翔くんはたくさんしてるのに、
俺より忙しいのに。


…合間を縫って、
俺に会いに来てくれる。


それが例え、週一でも、
月一でも。

嬉しいんだよ。


寮生活は反対した。

だって、会えなくなるから。

だけど、翔くんの将来だ。



…俺なんかに邪魔する
筋合いなんてない。

頑張れ、って
ここから応援することだけが
今の俺に出来ること。




…あの日買った、
参考書。

ボロボロになって、
でも捨てらんなくて。


翔くん…
今度会う時は、
もっと……





「…潤、今日会えねえ?」

「何時くらいー?」

「…潤の家にいまいる。」

「えぇっ!?」



自分の部屋から出て、
玄関を見た。

…そしたら、
見慣れた靴。


「…よっ
潤、ひさしぶり。」


俺の目の前にある、
大好きな笑顔。




ー終わりー

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