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甘く、苦く

第58章 末ズ【one step】






「ただいまー…

…あれ?」



…ないはずの靴が、
そこにはあった。


…まって。
なんで…?

だって、まだ帰ってくる
予定じゃなかったのに…


「…潤、くん…っ」


ソファーに座ってる、
後ろ姿を見て
思わず涙が溢れた。

…潤くんだ。
潤くんがいるんだ。


あんなにも会いたかった、
潤くんがいるんだ。


「潤くんっ…潤くん…っ!」

「はは、そんなに呼ばなくても
俺はどっか行かないよ?
犬じゃないんだから。」


立ち上がって、
俺の方へ来る。

涙が溢れてて、
うまく顔は見えないけど。


潤くんが優しく笑って、
顔が近付いてきた。

キスをするんだ…って
悟って、目を瞑った。


ひさしぶりのキスは、
溶けちゃうんじゃないかって
くらい、甘くて、熱くて…

…あー、幸せ…って、
心から思ったんだ。


「…和、ベッド、
行こっか…?」



潤くんの甘くて、
低い声。


「……うん、行こ。」


これから何をするのか。

そんなことは
わかりきってた。


…ただ……

俺達は、今日が"初めて"で。




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