甘く、苦く
第58章 末ズ【one step】
「ん…ふ、んぅ、」
ぬるぬると絡められる
潤くんの舌。
ザラザラとした感触と、
唇の柔らかい感触。
なんだか不思議な組み合わせで
とてもアンバランスで。
だからか、
…クセに、なりそうで。
「はぁ、…ん、」
静かで薄暗い寝室に
俺の変な声と、
淫らな水音が
響いてしまう。
…やだ。
恥ずかしい。
だけど、潤くんの体に
身を預けているから、
自分の思考なんて
もうほとんどなくて。
与えられる甘い快楽を
ただ受け止めるだけ。
だけど、それだけで、
…俺は、もう……。
きゅっと服の裾を握って
潤くんに『もうダメ。』って
終わらせるように催促してしまう。
もっと欲しいけど、
恥ずかしくて。
顔を真っ赤にさせてる
俺なんか、見てほしくなくて。
それでも、潤くんは
やめてくれなくて。
…意地悪なんだ。いつも。
「ふ、んぅぅ、」
もう息続かない…って
思ったとき、
パッと体を離された。
びっくりして目を開けたら、
潤くんが「うわ…」って
声をあげた。
「和、すっごい色っぽい…」
…色っぽい?俺が?
なに言ってんの。潤くん。
そんなわけないじゃん。
息が落ち着くのを
待ってくれる潤くん。
…これだけでもう、
俺は胸一杯になる。