甘く、苦く
第59章 大宮【Gimmick】
「うん、じゃあシよ。」
子犬みたいな瞳が
俺をがっしりと捉える。
すべてを見透かすような
その瞳に俺は捉えられた。
「…じゃあまず、キスから。」
「うん…」
机を挟んでいるから、
しづらいのか。
和の顔がぐぅっと
近付いてきた。
…俺の初キスは、
保育園児のとき。
和とだった。
「ん…っ」
二回目のキスは、
なんだか柔らかくて、
甘かった。
「っはぁ、さと、」
和が小さなテーブルの
上にのり、俺の肩に手をのせる。
ちゅ、ちゅ、と何度も
キスをしてやると、
徐々に甘い声を漏らし始めた。
「…んや、んぅ、」
エロ本みたいに、
舌を滑り込ませてみた。
柔らかくて、甘い舌は
俺から逃げるみたいに
動いている。
まどろっこしい…
和の頬を両手で
包み込み、固定する。
「ふ、んんっ…、」
うっすらと目を開いた和と
目が合った。
和の茶色い瞳に
俺の顔が映った。
…そうだ。
和は今、俺しか見てない。
独占欲が沸々と沸いてきた。