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甘く、苦く

第59章 大宮【Gimmick】






それからというもの、
ほとんど二人で
欲を出すようになった。


考えられなかったのに。


「…ん、智、シよ?」

「ん、わかった」


和の家は、いつも帰りが
遅いから、安心してできた。


「…ね、きす…」


んっと突き出された唇に
かぶりつくように
キスをした。



『付き合ってなんて
言わないから。』


………そう、これは
ただのセフレ。

恋人なんかじゃない。



「はぁ、あっ、さとし…」


ぎゅっと、抱きついてきた和。


とくんっ、とくんっ、と
気持ちのよい音が
響いている。








「…明日、来る?」

「あー、ごめん。
明日はだめかも。

ほら、委員会あってさぁ…
駆り出されちゃったから…」

「そっか…
じゃあ、またね」


行為が終われば、
元通り。

余韻を楽しむ暇なんて
別になくて。


気持ちよければ、
男としての欲を
出せればそれでよくて。


「…ん、んん、」


和の両頬を包み込み、
優しくキスをする。


「そんな顔すんな。
また来てやるから。」


って言えば、


「うん…っ」


って、嬉しそうに言う。

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