甘く、苦く
第62章 大宮【素直に】
「つぅかさ、
智くんはどうなのよ?
そういう雰囲気
醸し出してこないの?」
「醸し出すって…
そんなことしないし、
まず、お腹減ったくらいしか
いわないし…
何考えてるかわかりませんから。」
「えっ、それ、
恋人として一番ダメな
やつなんじゃー…」
言いかけて止まった。
ニノが、泣きそうな瞳を
してこちらを見ていたから。
…あ、やべー…
「…そう、ですよね。
俺、ダメなヤツですよね。
…ごめんなさー…」
「あーっ、違うから!
ごめんごめん!
帰んないで!
言い方が悪かったね。」
もう帰る勢いのニノを
引き止めて、
ソファーに座らせる。
「俺だってわかんないよ…
智くん、年を重ねる度
よくわからなくなってきてるし。」
「…痴呆?」
「バカっ!!
リーダーになんてことを!」
てへっと言いながら
舌を出すニノ。
…あー。
…うん。
これだな。