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甘く、苦く

第64章 にのあい【sunshine】






「なぁ。和。
マジで何あったの?」

「なにが?」

「今日のお前おかしいぞ。
いつもはそんなに
怒ってる顔してるくせして
上機嫌じゃないぞ?」

「怒ってねえし機嫌も
よくねえっ!」

「じゃあなんで授業中
ニヤけてたんだよ?

やっぱなんかいいこと
あったんだろ?」



…授業中まで俺のこと見てたのかよ。

…なんていうか……。


「キモいなを通り越して、
逆に尊敬するわ、お前」

「は!?
なんだよ急に!」


潤は意味がわからないという顔で
俺の顔を見つめてる。


「んまぁ。いいことはあった。
それだけしか教えてやんね」

「なんでだよ〜
俺とお前の仲だろ〜?」

「…また改めて、な。」

「?
なんだよ。
今日らしくねえな。」


なんて潤は浮かない顔して
自分の席に戻っていった。

俺たちの関係、
簡単に説明できないけど。


…またいつか。



「…みや、おい!二宮!」

「はい?」

「はい、じゃないだろ。
なにをボケーッとしてるんだ。」


ボケっとなんかしてねえわ。

ただ校庭でサッカーしてる
兄貴が目に付いたから、
それを眺めてただけ――…なんて
先生には言えるわけなくて。


「いえ、わからない問題が
あったので考えていただけです。」


ここは優等生らしく。


「…ならあとで
聞きに来なさい。

授業は真面目に受けなさい。」

「はい、わかりましたー。」


黒板にチョークの
当たる音がする。


……心地いい。



あ、転けてやがる。

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