(仮)執事物語
第11章 この先もずっと…〔黒崎〕
マコ兄に大きな掌が、私の肌の上を滑る。温かいマコ兄の掌に吸い寄せられる様に、私の産毛は立ち上がり、肌が粟立つ。溜息を吐けば、それはマコ兄の口付けに飲み込まれる。
マコ兄の唇が、あちこちに口付けの雨を降らしながら、首筋を伝い、鎖骨へ胸元へと下りて行く。胸の頂きに熱い舌が絡められ、転がされると私の口からは、また甘い溜息が零れた。
「なな? 気持ちいい?」
そう尋ねられて、恥ずかしいけれど頷く。すると「どこがいい?」と意地悪な質問。私の身体なんて、どこもかしこも知り尽くしているクセに。
「言えよ……。なぁ、言って?」
「どこが」なんて、そんなの言えないよ。だって全部が気持ちいい。触れられている場所も。重なり合った肌も。繋がっている場所全てが気持ちいい。
「じゃあ、マコ兄は?」
私はマコ兄の意地悪な質問に、意地悪な質問で返す。
「え? 俺!?」
「そう。教えてよ? どこが気持ちいい?」
そう言って私はマコ兄の耳朶を甘噛みする。
「そんなの……全部に決まってるだろ?」
「じゃあ、一緒だね?」
私達はお互いの気持ちが一緒なのだと確認し、微笑み合う。指を絡め合い、何度も交わす口付け。それだけでも、私の身体の奥からマコ兄への想いが蜜となって溢れ出す。
「大好き」
私がそう言うと、マコ兄は「俺は愛してる」と、私の言葉に張り合う様に言う。自分の方がより想っているのだと、誇示しようとするマコ兄が愛おしい。