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(仮)執事物語

第12章 花は温室で咲き乱れ〔葛城〕


 「私はずっと葛城だけのものよ? お願いだから……もうこんな事はしないで……」

 私がそうお願いすると、葛城は微笑んで私の頬を包み「約束します」と言って口付ける。私はそれを受け入れ、彼の舌に自分の舌を絡めた。

 ぴちゃぴちゃと音を立てながら、舌を絡め互いの唾液を混ぜ合わせる。切なく成程、熱い葛城の口付けに私の秘部は一層蜜を溢れさせ、彼を締め上げる。

 「ああっ!! さやお嬢様……そんなに締め付けてはっ!!」

 「いいの……イッて? 私の中で……私の中へ貴方の想いを注いで?」

 私達は少年の事など、すっかり忘れて互いの熱を高め合う。葛城の腰の動きが一層激しくなり、最奥をずんずん衝かれると、私の頭の中で火花が飛び散る。

 「葛城っ!! イクっ!! イッちゃうわっ!!」

 私がそう言ってしがみ付き身体を震わせると、葛城も同じ様に私をしっかりと抱き締め、腰を突き出し震わせた。ドクンドクンと私の中で葛城が脈打つ。

 私はそれを幸せな思いで受け止める。

 気が付けば、少年の姿はなく、少年の居た場所には綺麗に咲いた一輪の白いバラが置かれていた。

 「おや、この薔薇は……」

 葛城は温室から出るとその花を拾い上げ、私に手渡してくれる。

 「これは、貴女をイメージして庭師が品種改良を重ねて作った花ですよ。完成したのですね」

 恐らく、私をイメージした薔薇が咲いたので少年は早く見せたくて私達を追いかけてきたのだろう。そして、あんな場面に出くわしてしまったのだ。彼に悪いなと思いながら、私はその薔薇の香りを深く吸い込む。

 「さて、今度は邪魔の入らない様に気を付けて、もう一度愛し合いましょうか?」

 葛城はそう言って微笑むと、私を抱きかかえ温室の中でも最も奥まった場所へと連れて行く。

 新緑の風薫る五月の
 天気の良い午後に
 温室での外で薔薇の花を愛でながら
 


~*Finis*~

2016.04.30.21:44
 

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