(仮)執事物語
第8章 カウントダウンは甘く蕩けて〔葛城〕
"ゴォ─────ン……"
何処からか鐘の音が聞こえて来る。
「もう直ぐ、今年も終わりますね」
脚の間に埋めていた顔を上げ、ふと葛城が私を見る。
「お身体……冷えておりませんか?」
労わる様にそう問われ、私は首を横に振る。彼に与えられる快楽で、そんな事を考える余裕等なかった。
「それでも……少し温めた方が良さそうです」
私の肩を撫でながら、葛城はそう言うと私を抱き起こした。そして私を抱き締めたまま、湯舟に身を沈めて行く。
温かい湯に身体を包まれ、皮膚から骨身にまで、じわりとその熱が伝わって行った。
「今から衝き始めて、零時までに107回も衝けるの?」
私がふと思った事を口にすると、彼はふっと笑った。
「結構前から、鳴っていましたよ?」
「え⁉ 嘘よ! 何時から?」
「私達が、湯舟に浸かり始めて直ぐでしょうか……。気付かなかったのですか?」
「ええ……全く……」
私がそう答えると葛城は、『そんなに私に夢中だったのですか?』と言ってまた笑った。
それに反論しようとして、口を開いた瞬間。彼の唇でそれを封じられてしまった。
「駄目ですよ?今は私に集中して下さい……」
そう言うと、葛城は再び私に深く口付ける。私は観念して、彼の首に腕を回すと、彼の舌の導きに応じて舌を絡めた。