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あなたの色に染められて

第14章 臆病者




『りこちゃん りこちゃん。いまかってる?』

『うん。勝ってるよ』

『ききょうはぜったいにかつってパパとやくそくしたんだ!』

『ケンタくんと約束したなら絶対勝つね。』

『うん!』

今日はケンタくんも一緒に 私の膝の上で観戦。

寒くなってきたこの時期 ケンタくんは湯タンポのように暖かいから ギュゥっと後ろから抱きしめちゃってる私

『りこちゃんくるしい!』

そんなにかわいい4歳児をさっきから睨むのは隣に座る私の彼は25歳。

『おまえさぁ 誰の膝の上座ってんの?』

『りこちゃんの!』

負けずに睨み返す 私のかわいい王子さま

『京介さんがケンタくんに焼きもち妬いてるぅ!』

『……うるせー。直也! 別に妬いてねーし』

『おい。きょうすけ!りこちゃんとオレはラブラブなんだからな。じゃますんな』

そう言って 私の胸に顔を埋めるケンタくは一枚上手

『おっ!お前なぁ』

ケンタくんが京介さんに

『ベーッ!』

『なんだその顔!俺なんか 今朝……』

『京介さん!いい加減にしてください!』

25歳の彼が本気になるから面白い。

22歳の私はもちろんかわいい王子さまの味方。

『うふふっ。ケンタくんは私の王子さまだもんねぇ。誰かさんみたいに 意地悪しないもんねぇ』

ケンタくんの勝ち誇った顔は抱きしめたくなるほどかわいいの。

『負けてますよ。京介さん。』

直也さんが面白がって京介さんをイジる

『あー。うるせー! お前 次ホームにランナー返さなかったら みんなにジュースな。』

『俺に当たらないでくださいよぉ』

みんなでケラケラと笑って ベンチの雰囲気は凄くいい。

でも 今日は遥香さんが来ているんだ。私と離れた後ろの方に座っている。

どうしても 遥香さんを見かけると心細くなってしまう私。 小さな王子さまを胸にそっと抱きしめる。

いつまでたっても自信がない私。

昨夜 胸元にあれだけたくさんの花びらを散らしてもらったのに

小さくて童顔な私は心まで幼かった。

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