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あなたの色に染められて

第14章 臆病者




試合が終わり 選手のみんなが更衣室でシャワーを浴びてる間に ベンチでケンタくんと仲良くコップの片付けをしていると 私の前に遥香さんがスッと現れた。


『いつも部外者なのにコップ片付けさせちゃってゴメンねぇ。』

…部外者。

『あっ。ごめんなさい。余計なことしちゃって。』

『これからは仲間内でやるから 置いといていいからね。』

……仲間内って

優しく見下ろすその笑顔は 私を確実に追い込んで


『ケンタくん。パパのところに一人で行ける?』

『うん。じゃーねー。りこちゃん。』


いつも助けてくれるかわいい王子さまにこの後の私の顔は見せられない。


『そのお盆 私が片付けておくから。ゴメンね。手伝ってもらっちゃって。』


『あっ。……お願いします。』

私……なにやってんだろ


『そう言えば。この間の土曜日23時ごろだったかなぁ。京介に電話くれたでしょ?』

えっ。…なんで知ってるの?


『……はい。』


『私が持たされてたから なんか出ちゃったみたいで。ゴメンね。』

どうして 京介さんのを遥香さんが持ってるの?

『あっ。いえ。別に用事があった訳じゃなかったので……』

『京介 なんでも私に頼るからさぁ。洗濯とか掃除とかも。』

えっ?洗濯?掃除?

『…………』


『でも まぁ。愛されてる証拠か。頑張らなきゃいけないね。』

誰が愛されてるの?


『あっ。あのね。内緒なんだけど 寄りを戻そうって言われてるの。璃子ちゃん誰にも言わないでね。』

……うそ

『……復縁するんですか?』


『うん。土曜日。璃子ちゃんから電話があった日。 どうしても忘れられないから寄りを戻したいって。』


京介さんから?


『まだ返事はしてないんだけど。たぶん戻るかなぁ。』


『…………』


『こんなこと私が言うのも変だけど 京介がね
……璃子ちゃんとのエッチ。寝てるだけでつまんないって。遊びはもういいって。』


『……遊び?』


『京介も優しい人だから。きっと璃子ちゃんに言えなくて ズルズルいくと思うの。だから……早めに …別れてほしいな……』

なにを言ってるの?

……うそ。うそよ。

『じゃあね。絶対に内緒にしてね。それと 解放してあげてね。』




ベンチに座り 大好きな夕焼けをただ見ている

いつもと同じきれいな夕焼けだった

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