あなたの色に染められて
第16章 クリスマスイヴイヴ
『ケーキは買ったから…後は何を作りましょうか?』
『からあげ』
『クリスマスはローストチキンじゃないですか?』
『いいや からあげだって。』
駅前で仕事終わりの京介さんと待ち合わせてランチを食べ ただ今 スーパーのカートを押しながら悩む私たち
『こう 手で持つ所にアルミホイルが巻いてあるからあげな。』
『ハイハイ これですね。わかりました。』
逢えないと思っていたのに イヴの前日が祝日だったため二人ではじめて過ごすクリスマス
バックに彼へのプレゼントを忍ばせて お泊まりはできないけど 二人きりの甘~い時間を楽しむ予定
『あ…マカロニサラダも食いたいかも。』
『ふふっ。家庭的なクリスマスになりそうですね。』
『いいじゃん。』
折角だから少しは華やかにしたくて サーモンを品定めしている私の横でカートを押しながら微笑んでいる彼
『カルパッチョとキッシュと~ あとは~?』
『璃子を腹一杯食うから大丈夫。』
イタズラに笑いながら 相変わらず私をイジメてくる
『…バ…バカ。』
球納めの日 京介さんの彼女としてユニホームを着てから私に少し余裕がうまれていた。
『オレ別におまえを食えればカップラーメンだっていいけど。』
なにかが変わった訳じゃないんだけど
『京介さん!』
彼をよく知る人たちに会って私たちを認めてもらえたっていうのかな。
京介さんの彼女=璃子になったのを肌で感じたから
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『ただいま~』
『お邪魔しま~す。』
冷蔵庫に材料をしまって いつものように貯まりに貯まっている洗濯機をまわして
『どれだけ溜め込んでんの…』
いつの間にかお洗濯担当の私。ブーブー言いながらやってるんだけど
『あ…私のハンカチここにあったんだ。』
これも彼女の特権かな。実はイヤじゃなかったりする。
『いいから座れよ。』
『待ってもう少し。』
チョコチョコ動きまわっていることに幸せ感じちゃったりして
『璃子』
着替えをすませた彼にスッと腕を引き寄せられ胸の中に閉じ込められると
『キスぐらいさせろ。』
『…ん。』
ゆっくりと確かめるような甘いキス
『何足りない?』
首を縦に振らなくたって京介さんはクスッと笑ってもっともっと甘いキスをくれるんだ。
彼の腕の中で蕩けてしまいそうな私の頬はきっと真っ赤だろうな。