あなたの色に染められて
第16章 クリスマスイヴイヴ
先生は目線を首もとに落として
『お前のこと ちゃんと見てんだな。』
『えっ…』
あっ。
先生は私のネックレスを掬い チェーンに指を滑らせて トップを指先にのせて
『璃子によく似合ってる。これ。』
『……うん。』
『ちゃんと愛してもらえ。』
私の肩をポンポンとゆっくりと叩いて テラスの方へと歩き出した。
ポケットに手をいれて歩く 先生の後ろ姿はなんとも言えない大人の男性で
私から少し離れただけで もう別の女性から声をかけられてる
とてもキレイな人なのに もう面倒くさそう。
苦笑いをしながら 頭を掻いちゃって
さて。仕事仕事。
先生の後ろから
『…達哉さん』
腕をトントンと叩いて
先生が私を確認すれば
『See you!』
青い目をした女性に 笑顔で手を振っちゃって
キレイな女性なのに……
私は彼女に会釈して 先生とテラスへと向かう
『ちゃんとオレの横にいろ。“ビジネス彼女”』
……困ってたくせに …偉そうに
『はいはい。先生。』
仕事上ではなかなかいいコンビニなれてるかな。
『悪い。ちょっと待ってて。』
テラスへ続く入り口のそばで 先生は今日 来た目的の方と話はじめる。
私は少し離れて 壁に凭れて スマホを開いた
いくつかのメッセージのなかに
“merry Christmas。璃子。
彼氏は俺だからな。”
きっと 焼きもち妬いてくれてる彼。
“merry Christmas! 京介さん。
私は京介さんのモノですから。
お仕事がんばってください。”
小さなツリーを持って 頬を寄せて 撮った写メ。仲直りのあとに撮ったから 私の目と鼻は真っ赤でトナカイのようで。
離れた場所でクリスマスを祝うけど 心が繋がってれば きっと大丈夫だよね。
きっと大丈夫。