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あなたの色に染められて

第16章 クリスマスイヴイヴ




『merry Christmas! 先生っ♪』

『フフっ。タクシーの中で “行きたくないですぅ”なんて ブーブー言ってたの誰だっけぇ?』

『だってぇ。外資のパーティーだから 本場のクリスマスみたいなんですもん。』

大切なクリスマスの日になんで先生?なんて思ってたのもタクシーを降りるまで

ホールの真ん中に見上げるほどのツリーが飾ってあり 会場はクリスマスカラー一色で

クリスマスソングはピアノの生演奏

聞こえてくる会話のそのほとんどが英語


『だろ。毎年誘われてたんだけど 女性同伴が暗黙のルールみたいなのがあったから。璃子もこういう雰囲気好きだろ。』

『はい。日本の方もあまりいないですしね。海外にいるみたいです。』

否応なしに私の心は昂る

『だから。そのドレス着て正解だったろ?』

『……まぁ。』

少し痩せてしまった私に先生は新しいドレスを用意してくれて

『クリスマスプレゼントだと思えって。さっき言ったろ』

『でも 私からは……』

『いらねーよ。気にすんなって。』

じゃあ。

ちょうど通りかかったボーイさんからシャンパンを2つもらって

『はい。メリー クリスマス。先生。』

『シャンパンかよ。』

チン

グラスを重ねた。


『で、昨日は彼氏と仲良くイヴでした?』

『いいえ。家族と仲良くケーキ食べましたけど。』

『昨日が家族で今日がオレ。どうなってだお前ら。』

『うまくいってますけどぉ。このネックレスももらったんですよ♪
あっ。でもぉ。先生のせいで揉めましたから。』

『ハッ?なんでオレよ。』

『バレちゃったんですよ。彼女役。』

上目使いで睨んでも 効果ゼロ。

『アハハハッ。そりゃ悪かったな。』

『もう。ホントですよ。大変だったんですからね。』

私の肩先を片手で叩きながら ケラケラ笑っちゃって

『言っときますけど 先生とはあくまでも“ビジネス彼女”ですから。なので 腕も手も繋ぎませんから。』

言ってるそばから 肩を抱き寄せて

『聞こえませーん』

『もう!』

さっと振りほどいて 睨み上げても

先生は 私の髪をポンポンと撫でて 少し前屈みになり 私の瞳を覗きこむ。

『メリークリスマス。璃子』

『うっ。……メリークリスマスです。』

一枚上手な先生だった。

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