あなたの色に染められて
第17章 運命のイタズラ
『よし!璃子ちゃん!思いきって京介に抱きついちゃおっか!“璃子ぉ”って思い出すかもよ』
『差し入れ作戦もあるぜ! 京介さんの好きなものつくって持ってくるとか。舌は忘れてねぇだろ』
『あとは~。二人の思い出の場所に行くとか』
思い出の場所。
……そっか。
『私。もう一度あのグラウンドからはじめてみます。』
そう。京介さんと璃子はいつもグラウンドの中だった。
プレイする京介さんを応援する璃子。
それが二人の形。みんなに彼女だって認めてもらった場所。
『のんびり待ちますよ。…私 京介さんに待ってもらったんで。今度は私の番です。』
『璃子ちゃん。』
『だから。これからもグラウンドに通わせてください。雑用でもなんでもしますから。』
雑用だなんて。璃子の笑顔はベンチの華だよ。
『…京介来なくてもおいで。もう 璃子ちゃんの場所でもあるんだから。』
璃子はクスッと笑って
『惚れた弱味ってやつですね。』
ホントに璃子はバカだ。
『……もう。璃子ぉ。……なんで。なんでアンタばっかり…』
一番そばで励まさなきゃいけないってわかってるよ。
でも私には耐えられなかった。璃子の代わりに誰か涙を流さなきゃ 璃子が辛すぎる。
『……ごめんね。私があの日京介さんと会わせなければ…』
そう。あの日誘わなければ 璃子はこんなにも苦しまなくって良かったんだ。
『……美紀。違うよ。』
璃子は私の背中を擦りながら
『あの日があったから みんなに出会えたの。感謝してるんだよ。美紀には。…だから。ねっ。』
『……なんで。…なんでいっつも』
『…ありがとう。』
『璃子ちゃん。俺達も出来る限りのやるから。』
『うん。そうだよ。璃子ちゃん。』
『だから。俺達からもお願い。どんどん頼って。』
璃子。アンタは幸せ者だ。
『あいつさぁ。昔 あんなにニコニコしてなかったんだよ。クールって言うの?遥香と付き合ってるときなんかすげぇさっぱりしちゃって。』
『この間の球納めなんか衝撃的だったよなぁ。ホームで手広げて璃子ちゃん抱き抱えちゃって。』
『そうそうあれな。いっつも俺のもんだ!って手繋いでるだろ。すげぇウケる』
『今日もまた昔みたいなオーラしてたな。…取り戻そうぜ。デレデレ京介。』
『…ほら。美紀いつまで泣いてんだよ!』
しっかりしろ!私!