あなたの色に染められて
第27章 お気に入りの場所
『…璃子…』
眉間にシワを寄せて 目を瞑り 何かに耐えるその表情が私の心を擽った。
たぶん もうそろそろなのかな。時折 舌先に感じる苦味がそう思わせる。
『…ヤバイ…』
京介さんは私の頭に手を添える。
奥に挿しこむほど苦しかった。喉元に突き刺さる感じ。それでも私は彼を含み愛し続けた。
だんだん京介さんの息遣いが荒くなって声を漏らす。
さらにグッと頭を押さえつけられると
『…ヤバイ……イクよ…うっ…くっ…』
苦しそうに京介さんが言うと 喉元に今まで味わったことのないトロリとした何かが放たれた。
何回かに分けられてそれは放たれる。
京介さんの動きが止まると ティッシュを何枚か取り出し
『…ほら…出して…』
私の肩を掴み引き離して 私の前にティッシュを突きだす。
いつか 友達に聞いたことがある。好きな人のはどんなに不味くても飲むんだって。
『…うっ…』
飲み込もうとするけど はじめての感触と味になかなか上手く飲み込めない。
『…バカ…無理すんなって…』
口許にティッシュを当て吐き出させようとするけど
『…んんーぅ…』
飲み込まなきゃ…
私は首を振り 目をギュッと瞑って
…ゴクリ…
『…うぅっ…』
『…おまえなぁ…ったく…涙流しながら飲むもんじゃねぇんだよ。』
『…だって…』
『…ちょっと待ってろ…』
京介さんはベッドから起き上がると冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだし私に差し出した。
『ほら 飲め…』
『…いらない…』
『…ったく…』
京介さんはミネラルウォーターを口に含み 私の肩を抱き寄せ 逃げないように顔を手で押さえて キスをするように水を私の口内に流し込んだ。
…コクン…
『…バーカ…』
肩を抱かれたままキツく私を抱きしめてくれた。
『…嬉しいけど…無理はすんな…』
『…無理じゃないもん…』
『…ホントに…』
ジロリと私を睨み 水をもう一度口に含むと私にキスをして飲ませる。
『…おいし…』
『…ったく…』
私の体に手を這わし ゆっくりと倒すと
『…こんなに冷たくなって…』
優しく抱きしめてくれる。ぬくもりが気持ちよかった。
『…ギュッとして…』
『……。』
『…ねぇ…もっと…』
ねぇ 京介さん…
どんな色でもいいから
もう一度 私をあなたの色に染めあげて…