あなたの色に染められて
第29章 HAPPY BIRTHDAY!
『…璃子…璃子…』
気を失うように果てた璃子の額を優しく撫でてやるとやっと目を覚ました。
『…大丈夫か?…』
『…京介さ…』
シャワーを浴びて出てきても同じ姿勢で蹲ったままだったから
『…さすがに心配したよ…』
『…ごめんなさい…』
ベッドサイドに座る俺の膝をトントン叩いて呼び寄せると
布団にくるまったままニコリと微笑んで頭を乗せ 腰にクルッと手を回して甘えるこいつ
『…今日はありがとな…すげぇうれしかった…』
『…ホントに?…』
『…ホント…一生忘れないよ…』
『…うれしい…』
労うように優しく髪を撫でると気持ち良さそうに目を瞑り
『…いい香り…』
『…璃子もシャワー浴びてこいよ…』
『…うん…あっ…目瞑ってて下さいね…』
さっきまで俺にすべてをさらけ出していたくせに まだまだ恥ずかしがるこいつって
『…見ねぇから…早く行ってこい…』
『…絶対ですよ…』
『…わかったから…』
布団をさっと上げてやると ベッドからスルリ抜け出し小走りにドアへと向かう
『ケツのフリフリが見えてんぞ!』
『ヤダ!…見ないでっ!』
…フッ…
フリフリのTバックなんて…璃子はどんだけ気合い入れたんだって…
白いレースに纏われた璃子の後ろ姿は 散々抱いたあとでもまだ俺の心を擽った。
…俺も相当だな…
アイツからの電話を何食わぬ顔で話す璃子に俺は動揺した。
…俺の誕生日なのに邪魔すんなって…
アイツの影を今日だけはチラつかせんなって…
不安な気持ちのまま拒まれて でもそれは俺の思い違いで
まさかアイツがあんな愛らしい格好で寝室に現れるなんて思ってもみなくって
俺の誕生日だからって胸にリボンまで付けてプレゼントのように登場されれば 俺の理性なんてあっという間にぶっ飛んで
…フッ…シーツ替えねぇと冷たくて寝れねぇや…
シーツをこんなに濡らすほど愛した女は後にも先にも璃子だけで
こんなにも愛しいと想わせるのも後にも先にもきっと璃子だけで
「早く嫁もらえ!」って煩い親父もお袋も璃子なら快く迎えてくれるだろうな…
バサッ
シーツを勢いよく剥がして 新しいシーツを広げる。
…璃子の誕生日は何してやろっかな…
…たくさんの笑顔をプレゼントしなきゃな…