あなたの色に染められて
第32章 幸せのおすそわけ
『もしもし?美紀?…ちょっと!』
「キャハハ…届いた?」
『もう!何で言ってくれなかったの?』
「サプライズ!サプライズ!」
左手にスマホ 右手に結婚式の招待状を持ち一人で部屋を歩き回りながら美紀を問い詰める私。
『あれだけ電話してて 報告が招待状なんて…』
「直也と京介さんとね…相談して驚かせようって。」
『もう!ひどい!京介さんまで?』
私の大好きな美紀と直也さんが5年の歳月を経てやっと結ばれる。
『…でも…おめでとう。本当に…本当におめでとう。』
「…ありがとう…璃子。」
ずっと美紀が夢見てた軽井沢のチャペル。たまたまキャンセルが出てラッキーだったなんて。
「でさ…招待状見た?日程どう?」
出欠の有無をなぜか急いでる美紀。そういえば随分と差し迫ってる感じがする。
普通は半年前ぐらいに式場を決めて招待状を発送すると思うんだけど…
…あれ?…もしかして?…
『…ちょっと待って!それより美紀…まさか…』
「…エヘヘ…バレたか…。今4ヶ月…3月の中頃が予定日なの。」
『…うそ!おめでとう!』
「ありがとう…内緒にしててゴメンね…。」
高校の頃からしっかり者で看護士になる!と必死に勉強して白衣の天使の道を歩み始めた美紀。
持ち前の明るさと粘り強さで仕事をこなし 病院のスタッフにも信頼されている私の親友。
直也さんの一目惚れで手を取り合った二人。
「…プロポーズされたあとにすぐに妊娠がわかってさ…授かり婚って形になっちゃったけど…」
『…そんなの関係ないでしょ…。私 ずっと二人の結婚待ってたんだから。』
いつかはこういう日が来るってわかっていたけど 電話口の美紀の声を聞くと本当に幸せそうで胸が熱くなった。
「…で…どう?12月の終わり…かなり年の瀬の23日なんだけど…帰ってこれそう?」
『もちろん!何があってもたっちゃんにお休みもらって行くから!』
行かないわけないでしょ!大切な大切な美紀の晴れ姿。私が見なくて誰が見るの?
「ブーケトスは璃子に投げるからしっかりキャッチする練習しておいてよ!」
『OK!…あっ…美紀?これから色々と忙しくなると思うけど…お腹の赤ちゃんのためにも無理しないでね。』
「ありがと…璃子。」
美紀が大好きな人の元にお嫁に行ってお母さんになるなんて…
私まで幸せな気分になった…