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あなたの色に染められて

第33章 幸せのカタチ

『じゃ~ん!』

『ダメ… 却下。』

『え~…これもぉ。』

みんなと別れて二人で最初に訪れたのは駅前の大きなアウトレットモール。

『やっぱり幸乃さんと来ればよかった。』

もう何着 試着してんの?

『でた。ブーたれ璃子。』

京介さんは「丈が短い」とか「胸が開きすぎ」だとか難癖をつけて全然洋服を買わせてくれない。

『このスカートなら…う~ん…ギリギリOKかなぁ。』

『そういうの持ってるもん…。』

さっきから勧められるのは首が締まった膝下丈の洋服ばかり。

せっかく私のサイズがある日本でお買い物してるのに京介さんたら全然わかってくれない。

『…ねぇ…さっきのスカートやっぱりダメ?』

一目惚れしたのは腰のラインが綺麗に出るタイトスカート。

淡い色のシフォンのブラウスを合わせれば 背が低くて童顔の私でも少しは大人に見えそうで。

『そんなにケツ見せてぇの?』

『違いますっ!』

京介さんの隣が似合う人になりたいだけなのに…

乙女心を理解しようとしない頭の固い彼氏。

『あ~ぁ。欲しかったなぁ。』

店を出て 今出たショップを脇目に見ながら次のお店へと足を運ぶ。

『あれ?スパイク…今日はいいんですか?』

京介さんのお気に入りのスポーツブランドのショップの前を素通りしていくなんて。

『今日はおまえの洋服買うんだろ?』

立ち止まる私の手を掬い取り

『…でも…。』

『璃子のが決まったら…寄らせてもらうから。』

野球のことよりも私の洋服選びを優先してくれるなんて…嬉しかった

『じゃあ さっきのお店のスカート!』

『だから…何回言わせんだよ。』

いつものように口を尖らせて拗ねる私。

でもね 心は反対に嬉しい気持ちでいっぱいで。

『じゃあ~。そんなに言うなら京介さんが選んだのにしますよ。』

『…よし!俺好みのイイ女に仕上げてやる。』

繋いだ手を京介さんのコートのポケットにしまわれて

『…でも…その前に寒いけど珈琲モカソフトでも食うか?』

『うんうん!食べたーい!』

ショップの外は吐く息も白く染まるほど 寒いけど 京介さんのポケットの中の私の手はぬくもりをしっかりと感じてて。

『美味しい!』

『どれ?俺にも一口ちょうだい。』

『はい…あ~ん。』

行くことが出来なかったあの時よりもきっと楽しくなるはず。

…そうだよね…?

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