あなたの色に染められて
第33章 幸せのカタチ
京介さんが連れてきてくれたのは白樺の森の中の三角屋根の北欧風のホテル。
アンティークな調度品にランタンの灯りだけが優しく揺らめく館内はまるで別世界。
チェックインを京介さんが済ませてくれるとホテルスタッフに部屋まで案内された。
『こちらのお部屋です。』
目の前のモダンな柄の襖を開けるとそこはアンティークの調度品が飾られた和洋室。
『このお部屋だけ和洋室なんですよ。』
和モダンな和室の奥にはベッドが二つ並んでいて ランタンの灯りだけで優しい雰囲気を作り出していた。
『口…いつまで開けてんだ?』
『…だって…。』
真っ正面の大きな窓の外には白樺の森が広がっていて
『ベッドルームの奥が原泉かけ流しの半露天風呂になっております。館内には貸しきり風呂がいくつかございますので お好きな時間にどうぞ。』
お部屋の中に露天風呂まで付いてるなんて。
説明を終えたホテルスタッフが出ていくと京介さんは窓際に立つ私を後ろからそっと包み込んでんでくれた。
『どう?気に入ってくれた?』
『…はい。こんな素敵なお部屋に泊まれるなんて夢みたい。』
京介さんはクスリと微笑み私の髪にキスを落として
『璃子と過ごす初めてのイヴだからな。』
美紀の結婚式のお陰で私たちの初めての旅行が実現した。
ずいぶんと遠回りしている私たちだけど それはそれで私たちのペースなんじゃないかって最近は思ってる。
『…なんか…幸せです。』
誰にも邪魔されない静かな森の中で京介さんのぬくもりに包まれる私。
『…顔見せて?』
首筋に手を添えられて瞳を合わせれば 京介さんの唇が私の唇に向かってゆっくりと落ちてくる。
『…んぅ…。』
長くて深い私を蕩けさせるキス。
私は少し背伸びをして京介さんの首に腕を巻き付けてその甘いキスに応えると ゆっくりと唇を離して
『なぁ…貸し切り風呂行こ?』
『…え…。』
…もしかして…貸し切りってことは…
『答えはイエスかハイだけじゃなかったっけ?』
『…嘘ぉ…。』
真っ赤に染まるであろう私の頬を指の背で優しく撫でて
『ハイ決定。璃子の恥ずかしがるとこ俺の大好物なの知ってんだろ?』
『…意地悪…。』
『じゃ 璃子の浴衣姿でも拝見させていただきますか。』
今日はクリスマスイヴ。
…二人にとって素敵な時間が過ごせますように…