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あなたの色に染められて

第33章 幸せのカタチ

『…これって…。』

『いいから 早く。』

はじめて貰ったネックレスもお揃いの指輪もこの包み紙だった。

まだ手をつけていないデザートプレートを少し横に避け 高鳴る胸の鼓動を押さえ光沢のある白いリボンを丁寧に引き開いていく。

ゆっくりと箱を開けると そこには眩しいほどに輝いたダイヤモンドの一粒ネックレス。

『…これ…私に?』

戸惑う私の顔を見て京介さんは腕を組んで溜め息を吐き

『…やっぱ小せぇかぁ。もう少し大きいほうかぁ。』

なんて やっぱりこのネックレスの凄さを分かっていなくて

『…逆ですよ。この大きさだと1カラット以上はありますよね?』

プラチナのスクリューチェーンに大きな一粒ダイヤモンド。

『すげぇ…。店員さんの言う通り女は見れば分かんだな。』

京介さんは呑気に私のコーヒーに砂糖とミルクを入れながら戸惑う私にただ微笑んで

『こんな高価なもの…。』

『そういうことは言わないの。俺が格好悪くなんだろ?…っていうか…いいから 早くケーキ食え。俺のもどうせ食うんだろ?』

スゴく嬉しいけどスゴく戸惑った。

「酒蔵をを手伝ってくれ」と言われた後のこのプレゼント。

お母様たちに誘われたのは嬉しいし もちろん英語も活かしたい。

でも いくらなんでもそれは甘えすぎじゃないかって。

このネックレスもそう。

簡単に貰えるような品じゃないもの…。

『ボーッとするほど美味いか?』

『やだ!…ゴメンナサイ。あの…スゴく美味しいですよ。あっいけない!私もプレゼント!』

焦って立ち上がろうとすると

『バ~カ。そんなの後でいいから今は大好きなケーキと向き合いなさい。』

こうやって私はいつも京介さんに甘えてばかりで何もしてあげられない。


何となく言葉を発しないままケーキを頬張る私。

その光景を優しく微笑んで見ている京介さん。

『なぁ 璃子…』

『…はい…』

『俺にそれ着けさせて?』

京介さんは返事を待たずにスッと立ち上がり私の後ろに回り込むと

『髪…あげて?』

『あっ…すいません…』

はじめて貰ったネックレスを外された。

『あの…取っちゃうんですか?』

『取っちゃうんです。』

真っ更な首筋を指の背で撫でると

『このネックレスはね。ワガママな俺の気持ちだから。』

そう言って箱から取り出すと首筋にキスを落とした。

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