
あなたの色に染められて
第33章 幸せのカタチ
『バカ!泡が目に入るって。』
『それでいいんです。京介さんすぐ振り向くから。』
『いいじゃん。減るもんじゃねぇし。』
『はい 流しますねぇ。』
『聞いてねぇし…。』
京介さんに浴衣を脱がされてドキドキしながら露天風呂に入ると 髪と体を洗って欲しいとお願いされた。
振り向かないことを条件に私は大好きな人の髪を洗ってあげる。
マッサージしながら指を通すと京介さんは気持ち良さそうに目を瞑り私に身を預けて
『…気持ちいいな…。』
その姿がとても可愛くてお風呂に一緒に入るのも悪くないんじゃないかって少し思ったりして。
『はい。さっぱりしました?』
『すげぇ気持ち良かった。じゃ 今度は背中流してくれる?』
『振り向かないでくださいね。』
『だから 減るもんじゃねぇし。』
タオルにボディーソープを含ませてしっかりと泡立てて
…格好いいなぁ…。
首から肩にかけての綺麗なラインに鍛えられた逆三角形の背中…。腕だって今も現役で活躍できそうなほどの逞しさ。
その背中に見とれていると
『どうした?手が動いてねぇぞ…手が。』
『あっ…ごめんなさい!』
背中を洗い終えると 京介さんは自分の体を洗って
『今度は璃子の番。』
『…はい?』
私をバスチェアーに座らせた。
『ほら 目瞑れ。』
『…はぃ』
勢いよくシャワーが私の頭に降り注がれると 京介さんの指が私の髪をとかしていく。
『痛かったら言えよ。』
『…はぃ。』
京介さんは優しく撫でるように指先を使って髪を洗ってくれる。
『気持ち良さそうだな。』
『はい。…幸せです…。』
私は目を瞑り京介さんに身を任せた。
そのあと「体も俺が!」と迫られたけれど この後のことを考えると体がいくつあっても足りなそうなので丁寧に断って二人で湯船に浸かった。
『…見て 京介さん。星がスゴい綺麗ですよ…。』
このお風呂は窓が開閉式の半露天風呂。湯船に浸かったときに大きな窓を開けると一気に満点の星空が広がった。
『本当にすげぇなぁ。』
京介さんの胸に凭れながら二人で眺める星空は宝石が散りばめられたようにキラキラと輝いて。
『ありがとう…京介さん。』
『また 来ような。』
『…うん。』
振り向くとそこには優しく微笑む大好きな彼。
唇を重ねればその先を望んでしまう私がここにいた。
