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あなたの色に染められて

第33章 幸せのカタチ


幸せな1週間を送った私は今日アメリカに旅立つ。

『…次に帰ってきたらもう行かないのよね?』

『そうだよ…ママ。春には帰ってくるからそんな顔しないで。』

ママはいつも私が旅立つ前に涙を流す。

『無理しないでね。ちゃんとご飯食べて…ちゃんと寝て…。』

私の腕を擦りながら毎回お決まりのママからの台詞。

『大丈夫。ちゃんとするから。』

パパはいつもの笑顔で

『元気に行ってこい!』

家族3人で抱き合って背中をポンと叩かれて


それは旅立つ前の儀式みたいなものだった。

でも 今日はいつもと違って

『京介くん。よろしくね。』

『…はい。』

私は車に乗り込むとパパとママが見えなくなるまで手を振った。

12月の年の瀬。

通りすぎるどの家も大掃除の最中で家族揃って大忙しの様子。

パパとママもこれから障子の張り替えだって言ってたな。

年末のその光景を眺めていると

『…なんかさ…俺悪いことしてたんだな。』

京介さんは私の手を握ると溜め息をつきながらポツリと呟いた。

『俺 お前が帰ってくるとずっと独占してたなぁって。璃子のご両親だって一緒に過ごしたかったはずなのに…悪いことしてたよ。』

『昨日 家族団欒しましたよ?』

私の家まで送ってきてくれた京介さんも交えてママ特製のクリスマスケーキを食べた。

その 特製ケーキは小さい頃から私の大のお気に入り。この世で一番美味しいケーキ。


***


『帰ってきたらおまえ独り暮らし?それとも実家?』

『家から通うつもりですけど…。』

『通勤時間どのぐらいだ?』

『う~んと…電車で40分ぐらい?駅から距離があるから…京介さんが駅まで迎えに来てくれると助かりますけどね。』

『わかった。毎朝ちゃんと迎えに行くよ。』

『やった!』

本当は俺んちで同棲…なんて考えてたけど さっきのあの光景を目の当たりにしたらそれは出来ないって思った。

…結婚するまでは向こうのご両親との時間を大切にしてもらわなきゃな…。

『たまには…お泊まりに行ってもいいですか?』

『もちろんだよ。洗濯物もたっぷり用意しておいてやるから。』


***


空港までの道のりはあっという間で 涙を流しならゲートをくぐる璃子を見えなくなるまで見送った。

長かった遠距離生活ももうすぐ終わる。

あと少し…あと少しだな…。

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