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あなたの色に染められて

第33章 幸せのカタチ


『…見学…ですか…』

私は今 森田家のイケメン男子3名に囲まれる形でリビングのソファーで話を聞いていた。

『そう。この辺はアメリカ軍の基地がある関係で外国人が多いんだ。』

駅の向こうにいくつもの市町村にまたがる大きな基地がこの町にはある。

私も学生の頃 生の英語を堪能したくて友好祭に遊びに来たこともあった。

『日本酒もだいぶ世界に認知されて来てるから この間みたいに売店に直接来ることも多くてね。それだったら月に何度か外国人だけの酒蔵見学をやってもいいかなって。』

お兄さんはまるで子供のように目をキラキラと輝かせて今まで考えてきた構想を話して

『気が進まないなら見学のことは忘れてくれていい。本業は売店での外国人の対応とか海外からの問い合わせをお願いできれば…。』

お義父さんはお兄さんの熱意を少し和らげるように気を使って

『私で勤まりますか?』

なんだか 本当に申し訳ないぐらいだった。

日本酒の味もろくにわからない私を必要としてくれていて

京介さんはそんな戸惑う私に微笑んで

『いいんだよ。この人たちは璃子が居てくれればそれで。』

『まぁな。璃子ちゃんがこの酒蔵に馴染んでくれればそれだけで俺たちは御の字だよ。』

代々続くこの酒蔵。

地域の人たちに守られ この地の誇りのようなそんなお酒。

私もそのお手伝いをさせてもらえるなんて。

京介さんはクスリと微笑んで

『決定かな?』

『…はい。お言葉に甘えて…よろしくお願いします!』

お義父さんとお兄さんはなぜだか握手をして健闘を称えあって

『璃子ちゃん!ありがとうね!』

お義母さんもどこからともなく現れて ソファーの後ろから私をギュッと抱きしめて

『このお家に永久就職しちゃえばいいのに!』

『はっ…はい?』

『おい!お袋! 調子に乗りすぎだって!』

京介さんは耳まで真っ紅に染まって

『みんなで璃子ちゃんの帰りを待ってるからね。』

『ありがとうございます。お義父さん…。』

『ちょっとお父さん!璃子ちゃん泣かせちゃってぇ。』

『あ…いや…そんなつもりじゃ…。璃子ちゃんごめんな。』

京介さんに出会って知ったこと。

…幸せだと自然と涙が溢れてくるってこと…

そして 愛しい人の家族も同じぐらい大切だってこと。

今日はクリスマス…

またひとつプレゼントをもらったクリスマス

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