
あなたの色に染められて
第34章 キミを想う
『おまえ 本当に美紀ちゃんに今日のこと伝えた?』
『だからさっきも言いましたけど18時が定時で終わったら二人で来るってLINE来ましたから。』
昼の練習から今か今かと待っている俺にはこの1分1秒が酷だった。
『だってもう5回の裏だぜ?』
『しょうがないじゃないですか…あっちは仕事なんですから。』
それはわかってるけど…でも 誰かを待った経験なんてない俺は時計の針がやけにゆっくりと感じて
『おまえ 来なかったらマジでぶっ飛ばす。』
『だから~来るって。今向かってるってLINE来ましたから。』
直也に当たったってしょうがないんだけど
『ほら 京介さん守備ついてください。』
直也が渡したグローブを奪い取り
『うるせぇ。』
俺は外野まで一気に走り抜けた。
それから間もなくのこと 金網のフェンス越しに二人の女の子が覗くのを見つけた。
…来た…。
俺の胸は一気に鼓動を早めて
…早くこの回を終わらせろ!
なんてピッチャーに念を送っちゃって
…カキーン!
鈍い音とともに俺のところにまっすぐとボールは延びてきて
…パシッ…
『アウト!3アウトチェンジ!』
でも 俺はダッシュでなんか戻らない。
…まずは俺の名前と顔を覚えてるかってところからだな。
そんで うまくいけば飯でも誘って…。
イヤ待てよ。二人きりだと警戒するから…。
昨日の夜からこんなことばかり考えてる俺は初めて女を誘う高校生みたいで
まっすぐにグラウンドを見つめる彼女の顔がなんだかとても微笑ましくて
…当たって砕けろだな…。
たくさん悩んだことも全部どうでもよくなるほどのその容姿で。
俺はフゥとひとつ息を吐くと
『こんばんは…野球好き?』
なんて言いながら彼女の横に座った。
彼女は大きな目をさらに大きくして俺を見上げて
『…はい…。』
この瞬間俺の好きなものの順位が入れ替わった。
不動の一位だった野球はあっさりと璃子ちゃんに譲られて
『野球好きかぁ。…良かった。』
自然と言葉が溢れてきたことに俺自身驚いた。
璃子ちゃんは俺に微笑んでくれた。
その笑顔に逢いたくて触れたくて
気がついたら俺も笑ってた。
顔の筋肉が全部緩くなったみたいな不思議な感覚。
…やっぱり この子じゃなきゃ俺はダメなんだ…
彼女のその微笑みを感じながら俺は笑い返した。
『だからさっきも言いましたけど18時が定時で終わったら二人で来るってLINE来ましたから。』
昼の練習から今か今かと待っている俺にはこの1分1秒が酷だった。
『だってもう5回の裏だぜ?』
『しょうがないじゃないですか…あっちは仕事なんですから。』
それはわかってるけど…でも 誰かを待った経験なんてない俺は時計の針がやけにゆっくりと感じて
『おまえ 来なかったらマジでぶっ飛ばす。』
『だから~来るって。今向かってるってLINE来ましたから。』
直也に当たったってしょうがないんだけど
『ほら 京介さん守備ついてください。』
直也が渡したグローブを奪い取り
『うるせぇ。』
俺は外野まで一気に走り抜けた。
それから間もなくのこと 金網のフェンス越しに二人の女の子が覗くのを見つけた。
…来た…。
俺の胸は一気に鼓動を早めて
…早くこの回を終わらせろ!
なんてピッチャーに念を送っちゃって
…カキーン!
鈍い音とともに俺のところにまっすぐとボールは延びてきて
…パシッ…
『アウト!3アウトチェンジ!』
でも 俺はダッシュでなんか戻らない。
…まずは俺の名前と顔を覚えてるかってところからだな。
そんで うまくいけば飯でも誘って…。
イヤ待てよ。二人きりだと警戒するから…。
昨日の夜からこんなことばかり考えてる俺は初めて女を誘う高校生みたいで
まっすぐにグラウンドを見つめる彼女の顔がなんだかとても微笑ましくて
…当たって砕けろだな…。
たくさん悩んだことも全部どうでもよくなるほどのその容姿で。
俺はフゥとひとつ息を吐くと
『こんばんは…野球好き?』
なんて言いながら彼女の横に座った。
彼女は大きな目をさらに大きくして俺を見上げて
『…はい…。』
この瞬間俺の好きなものの順位が入れ替わった。
不動の一位だった野球はあっさりと璃子ちゃんに譲られて
『野球好きかぁ。…良かった。』
自然と言葉が溢れてきたことに俺自身驚いた。
璃子ちゃんは俺に微笑んでくれた。
その笑顔に逢いたくて触れたくて
気がついたら俺も笑ってた。
顔の筋肉が全部緩くなったみたいな不思議な感覚。
…やっぱり この子じゃなきゃ俺はダメなんだ…
彼女のその微笑みを感じながら俺は笑い返した。
